ゼファー株式会社は小型風力発電のメーカーです。






製品情報

エアドルフィン

エアドルフィンテクニカルノート

ゼファー技術陣がフィールドテストなどで得た情報を元にエアドルフィンの技術解説をします。

Vol. 1「ストール運転技術」 ~えりも岬フィールドテストデータ~

第1弾はフィールドテストを行っている「襟裳岬 風の館」のエアドルフィンの2週間分のデータを元に解説をいたします。
襟裳岬は日本でも有数の強風地域として有名で今回のフィールドテストも日高山脈襟裳国定公園内にあるその名も「風の館」に設置してあります。
襟裳岬は平均風速10m/s以上の日が年間290日を越える強風地帯です。今回のデータも瞬間最大風速が35m/s、10分平均風速が最大25m/sという状況下でエアドルフィンがどのような動作を示したかを解説します。

エアドルフィン設置仕様

【設置ポール】可倒式9mポール

【設置場所】日高山脈襟裳国定公園内「風の館」 北緯43度/東経143度

【バッテリー】GPL-4D ×2台(定格容量:210Ah)

【負荷】「風の館」内ヒーター(消費電力:700W)

風況観測仕様

【風速計】DAVIS社製(米)/風杯型(アーム式)/測定分解能:1m/s

【設置場所】設置位置:風車ハブ高さより1.4m直下のポールへ取り付け

えりも岬位置

ストール(失速)運転とは?

<プロペラ型風力発電機の多くは、ブレード(羽)の断面形状が、飛行機と同じ形状をしています(図1)。飛行機は、この形状によって発生する、浮き上がる力(揚力)を得て飛び続けることができるのです。ただし、この揚力は断面形状に対して、ある一定角度から風を受けているときしか発生しません。これを、揚力が発生可能な風の流入範囲とすると、この範囲以外からの風のときには揚力が発生せずに、失速(ストール)という状態になってしまいます。つまり浮き上がっていられるだけの力が発生しなくなってしまいます。
エアドルフィンのブレードは、強風時には自らの回転数を下げることで、結果、風の流入角度を変化させ、失速(ストール)領域に追い込んでいるのです。

では、なぜストール運転をする必要があるのか?と言うと、揚力型のプロペラでは一般的に、風速の上昇に伴って回転数も上昇します。上昇しすぎると、最後には自らの遠心力や風の圧力によって、破損してしまう恐れがあるのです。また、回転速度が音速に近づくと衝撃波などの発生も考えられます。
そこで一般的な風力発電機では、この強風への対処として、「プロペラのピッチ角度(取り付け角度)を変化させる」「風の方向に対して、風車を偏向させる(ファーリング)」などが採用されています。

しかし、ゼファーは以下に挙げる開発思想を元に、ストール(失速)運転方式を採用しました。

1)炭素繊維技術を利用したことによって、ブレードが「超軽量」「高剛性」「長寿命」となり、強風下での風のストレスに耐えられるようになった。
2)部品点数の削減ができ、機械の信頼性がUP。ピッチ角度変更や、ファーリング機構と比較して、明らかに製品の部品点数が削減でき、故障の確立が下がります。
3)コストダウンが可能。
構造がシンプル、部品点数が削減できることでコストダウンとなる。
4)暴風下での安定した連続発電。

失速(ストール)領域であれば、風速の上昇に伴う急峻な回転数上昇が抑制でき、比較的安定した回転数を維持することが可能になります。
ただし、失速(ストール)運転では、回転数上昇を抑え安定した運転が可能な替わりに、風に対する即応性と発電効率が落ちてしまいます。そこで、エアドルフィンでは、この失速(ストール)運転に移行する条件として、
1)数十秒間の平均風速が12m/s以上の暴風時。
2)バッテリへの過充電検出時。

図解

図2は、10分平均風速の推移に対する、10分間の平均発電電力の変化を表しています。(12日~13日はメンテナンスの為、運転停止)
グラフを見ると、平均風速20m/s強の風況においても、エアドルフィンがストール運転(失速)によって、ノンストップで発電をしている様子がわかります。特に、突出したデータが、3/8日(平均26m/s、440W)、14日(平均17m/s、400W)、19日(平均21m/s、360W)、20日(平均28m/s、460W)から読み取れます。

えりも岬「風の館」(10分平均値)

図3は、10分平均風速に対する10分平均発電曲線です。通常運転/ストール(失速)運転モードの切替の様子が判ります。ストール中は、500~600rpm程度に回転数を落として連続運転を実現しています。10~15m/sの風速域で平均300W前後の発電、更に平均風速20m/s以上の風速域においては平均400W前後の発電をしています。
これは、暴風下においてエアドルフィンの定格発電電力(1kW)の40%の能力で発電が継続可能であることを意味します。一般的に平均風速が20m/sを越えるような暴風下では、風力発電は安全のために、停止させてしまいます。「風が強すぎると発電ができない」。そんな風力発電の矛盾に対する新しい答えとして、「風が強くても発電を継続させる」。エアドルフィンは、暴風でも発電を継続することに注力し、強風地帯での風車設備稼働率を上げることが可能になりました

えりも岬「風の館」(10分平均値)